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大阪万博・イタリア館に見る“木”の可能性 ― 再生する命と未来への建築

大阪万博・イタリア館に見る“木”の可能性 ― 再生する命と未来への建築

 2025年に開催されている大阪・関西万博では、世界中の国が個性的なパビリオンを通じて、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマを表現します。その中でもひときわ注目を集めているのが、イタリア館です。

このパビリオンの最大の特徴は、全木造建築という挑戦的な構造。私たちの身近な素材「木」が、どのように最先端の建築へと生まれ変わったのか。設計思想から環境への配慮、施工の工夫、そして万博後の展望までを、わかりやすくご紹介します。

 

木が主役の建築デザイン:ルネサンスの美と現代の技術の融合

 イタリア館を設計したのは、イタリアの建築家マリオ・クチネッラ氏率いるMCA(Mario Cucinella Architects)。彼は「建築は自然と共にあるべき」という信念を持ち、サステナブルな建築の第一人者です。

今回のイタリア館のデザインは、ルネサンス期の理想都市や、イタリアの伝統的な格天井「コッファード天井」をイメージした美しい木格子構造が特徴。柱と梁が織りなす木のリズムが、やわらかく光を取り込み、見る人に安心感と格式を与えます。

天井や柱がすべて木で構成されることで、自然素材が生み出す温もりや癒しが感じられる空間になっています。

 

環境に優しい木材の選定と構造

写真:名画「キリストの埋葬」も展示へ 「理想都市」イメージ、万博イタリア館の内部を初公開 – 産経ニュース

 

 構造体に使用されている木材は、日本産のスギや、スカンジナビア産の赤松など。これらはすべて**認証材(JASやPEFC)**で、森林の持続可能な管理のもとに育てられた木材です。

また、木材の加工には「CLT(Cross-Laminated Timber)」という先進技術を活用。CLTは木の板を直交させて貼り合わせた構造材で、強度が高く、大型建築にも対応可能です。これにより、鉄やコンクリートに頼らない、全木造のパビリオンが実現しました。

木材は成長過程でCO₂を吸収するため、使用することでカーボンを固定するという利点も。さらに、イタリア館では建築過程でもできるだけ接着剤や機械に頼らない施工を心がけており、「カーボンフリー建築」としての認証も目指しています。

 

施工時の工夫:プレハブと乾式モジュールで効率化と柔軟性を両立

 イタリア館のもうひとつの特徴は、「乾式モジュール構法」という組立方式を採用している点です。これは、あらかじめ加工・組立された木材ユニット(CLTや集成材)を現場で組み合わせる方式で、工期を短縮できるだけでなく、施工時のゴミも減らせるエコな方法です。

また、現地での湿式作業(コンクリートやモルタルなど)は最小限に抑えられており、自然に優しく、効率的な建設が進められています。すでに2025年の開幕に向けて、構造体の約7割が完成しているとも発表されています。

 

会期後も活躍する「再生可能」な建築

 イタリア館の魅力は、万博期間中だけではありません。実はこの建物、万博終了後には解体され、他の場所で再利用される計画なのです。

CLTや集成材によるモジュール構造は、「分解→再組立」が可能で、解体後も無駄になることなく、文化施設やワークショップの場として生まれ変わる予定。イタリア国内、あるいは他の国への移設も想定されています。

これにより、ただの一時的な展示施設ではなく、「命が循環する建築」としての存在価値が生まれます。

 

“いのち輝く”未来社会を木で体現する

大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。その理念を、イタリア館はまさに建物そのもので表現しています。

  • 木材という自然の命を活かす

  • 持続可能な方法で建て、使い、未来に受け継ぐ

  • 芸術と機能、伝統と革新が融合する空間を創造する

これらは、単なる技術展示ではなく、人と自然の共生を目指す建築として、私たちの心に深く訴えかけてきます。

 

イタリアパビリオン

 木という素材が、ここまで豊かで、持続可能で、しかも美しい建築を生み出すことができるという事実に、驚かれる方も多いのではないでしょうか。

イタリア館は、私たちに「建築は使い捨てであってはならない」というメッセージを投げかけています。自然と共に生き、未来につなげるために、何ができるのか――その答えのひとつが、このパビリオンに詰まっています。

ぜひ、万博を訪れた際には、この温もりある木の建築を体験してみてください。未来を考えるヒントが、そこにあるかもしれません。

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